
腕時計をオーバーホールに出してきた。1995年の7月に購入したものなので、もうすぐ10年になる。前回は2001年に実施。初回のメンテとしては少し遅めだった。
今回も、前回と同じ目黒の小さな時計屋に持って行った。店内に入り、オヤジさんに「またオーバーホールをお願いしようかと思いまして...」と腕時計を渡すと、裏蓋を見てまず「おや?これは見たことないなぁ」と不思議そうな顔。ジャックマイヨール20th Aniversaryの刻印のある裏蓋を持つシーマスターは1500本しか存在しない。「え~と、4年くらい前に一度お願いしてます」と伝えるが、怪訝そう...
「こいつは5ポイントじゃないと開かないんだよなぁ...」と奥の引き出しから工具を取り出して裏蓋を開ける。裏蓋の裏を見て「ん?やっぱり僕の刻印が無いよ。え~と、ほかに3回くらい誰かが触ってるね」機械式時計のメインテナンスの際は、蓋の裏に履歴を彫り込む。そこに彼の刻印が残ってないのだそうだ。
「え~と、オメガサービスに2回出してるね~」「えぇ、オーバーホールをお願いした後、チューブの交換で2回オメガのサービスに出しています」2度というのは、最初の修理の後一年足らずでまたチューブが磨耗してしまったため、クレームでもう一度直させた経緯がある。
「けど、4年前にこちらでオーバーホールをお願いしたのは確かですよ」本人が持って来てるのだから間違いない。「い~や、僕は必ず分かるように刻印入れるんだ。これにはない」と、現在修理中の他の時計の刻印を見せてくれ、否定された。(もう泣きそうである)
とりあえず仕事は受けてくれるわけで、オヤジさんは時計を測定器に装着した。姿勢を変えながら時計のビートをプロットする機械だ。タッタッタッタッタ... とビートが増幅されて音になる。
...とオヤジさん、そのビートをプロットしたプロファイルを見て「おや?これは一度僕が触ってるな~」と... 「え?それで分かるんですか?」「このムーブメントをこういう風に調整するのは、多分僕と... 他には... まぁいるだろけど... 少ないだろうね」と... う~ん、さすがだ。オヤジさんは裏蓋を再度見直して、「あ~、ここにかすかにKUって見えるなぁ、いつか分からないけど一度触ってるな」(だから、言ったじゃないか~)
というわけで、その後はムーブメントの事や、彼の修理の際のポリシーとか、ためになる話をたくさん聞かせてもらい、小一時間も仕事の邪魔をしてしまった。
この店、職場の同期に教えてもらった店なのだが、ここのオヤジさんは本場スイスで修行したかなりの腕を持った人で、国内の有名メーカーのサービスからも仕事が回ってくるほどの人らしい。最近はメーカーからの仕事は断っているようで、オーバーホールの納期も一ヶ月と、以前より短くなっている。
お持ちの機械式時計がイマイチ調子が出ない... と思っている方、一度このオヤジさんに診てもらってはいかがだろうか?
こだわりの時計職人"植松 厚幸" さんの店 "幸信" の紹介は、下記のURLで...
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